――完成した作品を見た率直な感想は?
藤井道人監督が、また一つ大作を世に残してくださったなという印象です。この作品は、ヤクザ映画だけど暴力的ではなくて、家族とかヒューマンに寄り添っている骨太な映画になっています。
血のつながっていない家族像が描かれているので、“家族”というものが何なのかを考えるきっかけにもなるし、僕自身、周りにいる人や今までお世話になった人たちに対して、自分は今どう思っているのかというのも、もう一度考えるいい機会になりました。
愛とか絆というものをもう一回確認し合える、したくなるような映画になったなと思います。
――主演の綾野さんとはどんな会話をされましたか?
綾野さんは、翼に対しても俳優・磯村勇斗に対しても語らずとも何かを残してくれるような空気でずっといてくれて。「見て学んでくれよ」というような空気感で、僕もずっと綾野剛さんを見てきて、役を生きる大切さも知りましたし、座長としての現場を作っていく空気感や気遣いみたいなところとか、近くでお芝居をさせていただいたことで、改めてすごく勉強になりました。
――現代を描いた第三章で重要な役どころを演じられましたが、出演が決まった際には「うれしさと同時に目の前に一枚の壁が立ちはだかった感覚」ともお話されていましたね。
翼という役は非常に難しかったので、壁というものを感じていて、僕が主に出演させていただいた三章では、一、二章と皆さんが歩んできたものを背負っていかなきゃいけない役だったので、監督と常にディスカッションしながら、その壁を乗り越えていきました。
――ご自身が演じられた翼は、どういう青年ですか?
翼はその場所でしか生きることのできない悲しい部分もあるんだけど、そこには強い意志を持っていて、生きる強さが感じられる青年だと感じました。柴咲組の組長やケン兄に対する愛情はあるけれども、決してヤクザには染まらない意志の強さも持ってるんですよね。
自分独自の半グレというものには属してはいるんですけども、そこの仲間たちを大切にしながら、ケン兄たちから受け継いだものを自分自身の新しいものに変えて、進んでいくような青年なんだと思います。
――翼は一見チンピラのようでありながらも、幼いころから面倒を見てくれた組長(柴咲=舘ひろし)や“ケン兄”と慕う山本に対するまなざしには、温かいものが感じられました。
目の表情というものを意識したことはなくて、すべてその場のノリというか、翼が感じたままのまなざしが出ていたんだと思います。
――目の演技、というものではなく自然と出てきたもの?
ケン兄は小さいころから面倒を見てもらってきたし、自分の憧れでもあり大好きな人なので、弟みたいな立場から兄を見るようなまなざしになってたんだと思います。
――中でも、ラストシーンのまなざしは、切ないけれども温かみを感じられるとても印象的なシーンでした。
あのシーンは、今までケン兄が貫いてきたものを最後につなげていく重要なシーンでもありましたね。すごくいい雰囲気の中で演じられたんじゃないかなと思います。
1月29日(金)全国公開
出演=綾野剛
尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗
菅田俊、康すおん、二ノ宮隆太郎、駿河太郎
岩松了、豊原功補/寺島しのぶ
舘ひろし
監督・脚本=藤井道人
音楽=岩代太郎
主題歌:「FAMILIA」millennium parade(ソニー・ミュージックレーベルズ)
配給=スターサンズ/KADOKAWA
製作=『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
公式サイト=https://yakuzatokazoku.com/
(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会