人気お笑いコンビ、コロコロチキチキペッパーズ・ナダルによる初の著書『いい人でいる必要なんてない』が発売中だ。「アメトーーク!」(テレビ朝日系)などで“クズ芸人”としてお馴染みのナダルだが、本書は渾身の人生哲学を真面目に綴ったエッセイ。クズ芸人の裏側も記された、ある種暴露本的な一冊への思いをインタビューした。
“クズ芸人”は僕の生きるための処世術
――ナダルさんの初エッセイ、思っていた以上に真面目な内容で少し驚いています。
この本を書くにあたって、素の自分を出そうと心掛けました。本の印象が“真面目”なんだとすれば素のナダルは“真面目”ということなんでしょう(笑)。コロコロチキチキペッパーズがブレイクするきっかけになったのは「キングオブコント2015」優勝と、僕のクズ芸人というキャラクターだったと思います。特に世間のみなさんには「アメトーーク！」や「水曜日のダウンタウン」(TBS系)などでクローズアップされたクズ芸人というイメージが強い。でも今回の本では、クズ芸人の裏側も明かしています。
今ってネットやらSNSやらが当たり前で、寝ても覚めても勝手に情報が入ってくるじゃないですか。みんな知らないうちに傷ついたり気にしたり、気疲れが当たり前やと思うんです。僕自身もこの世界に入りたての頃は、「少しでも見返りあれば…」と先輩やテレビ局の偉い人に媚びたりしてました。でも思ったより効果はなくて、それ以上に精神的なきつさの方が上回るというか。「アメトーーク！」などでクズ芸人として取り上げてもらったこともあって、それなら「もう必要以上に気使うのやめて、正直に生きよう」と思うようになっていきましたね。もちろん僕自身の性格からくるクズ要素もあるんですが(笑)、このスタイルになってある意味吹っ切れて芸人やれるようになりました。本には赤裸々に書きすぎて、芸人にとって「本当の人柄」とか「裏側の人間性」って明かしていいものなんかどうか…。そういう迷いはやっぱりありましたけど。それでも、僕が思っている本当のところをエッセイとして書かせてもらってます。
今でもいじめられていた時のことを思い出すと言葉に詰まってしまう
――中学生時代のいじめ体験についても告白されていますね。
いじめの体験談も芸人としてどこまで打ち明けていいものかどうか、悩んだ部分ですね。いじめられた経験のある芸人はたくさんいると思いますけど、人を笑わせるという仕事をしていく中で自分のいじめ体験について語る、というのはすごく考える部分が大きいと思います。いじめの体験談を打ち明けるかどうかは人それぞれでいいと思いますけど、僕の場合はエッセイの中で正直に書くことにしました。
――大人になった今でもいじめの経験は心に引っ掛かっていますか？
引っ掛かりはもちろんあるけど、それでも前へ進んできた、っていう感じですね。本の中でいじめの体験談はあっさりとした感じで書いてあるので、もしかしたら「この程度か」「たいしたことない」と感じる人もいるかもしれない。でも、僕にとっては、今でもいじめられていた時のことを思い出すと言葉に詰まってしまうくらい、大きな出来事でした。別に「僕、いじめられてました！」と大声でアピールしたいわけではないんです。いじめについては自分なりに消化して前へ進んできたつもりやし、心の傷は残ってるけど前に進むこともやっぱり大事。もしも今いじめに遭ってる人がこの本を読んでくれるなら「いじめに遭っても僕みたいに変わることができるんだ」みたいに、前に進むための手助けになったらうれしいなと思います。
書籍概要
『いい人でいる必要なんてない』発売日：2022年2月25日
定価：1540円(税込)
版型：四六版/208P
詳細：https://www.kadokawa.co.jp/product/322107001211/
Amazon：https://www.amazon.co.jp/dp/4046055103
ナダル
1984年生まれ、京都府出身。吉本興業所属のお笑いコンビ「コロコロチキチキペッパーズ」のボケ担当。「キングオブコント2015」優勝。「アメトーーク！」(テレビ朝日系)の名物コーナー「ひんしゅく体験！ナダル・アンビリバボー」や「水曜日のダウンタウン」(TBS系)のドッキリ企画などで人気を博す。クズ芸人として名を馳せながらも、SNS社会やコロナ禍において「本音を隠さない正直さ」「忖度しない芯の強さ」といった生き方が多くの共感を呼んでいる。YouTube「よろチキチャンネル」はチャンネル登録者数26万人を超える。YouTube：https://www.youtube.com/channel/UCYQ-KobYn4cxCB2T_n05zEw
Twitter：https://twitter.com/korochiki_nadal
