本当に全部タイミングなんですよね…
――第8話では、部屋に荷物を取りに来たゆうが、実は尚紀が3年前にゆうとの結婚を考え、密かに指輪を買っていたことを知りました。
そうなんですよね。でも、その当時ゆうちゃんは知らなかったので、今となっては切ないですよね。ゆうちゃんが店長になったことを知らされた尚くんは、ゆうちゃんは仕事モードなのかな?と気遣って指輪を出さなかったわけで、2人はずっとすれ違っていたんですよね。
でも、もう深見くんと付き合ってるので、尚くんとの復縁はないと結論は出しているけど、指輪を見て、また気持ちを惑わされてしまうんですね。本当に全部タイミングなんですよね…。
――しかも深見の“ゆうのための行動”を通して、自分が尚紀にしてきたことを振り返るという構図も巧妙だなと思いました。
面白いですよね! ゆうちゃんは、尚くんに頼まれてもいないのにいろいろやってしまったことで、彼を甘やかしてしまうという悪い結果を生んだと思っているけど、今は深見くんが私のことを思って、いろいろやってくれるんですよね。深見くんはゆうちゃんファーストが苦じゃなく、ゆうの幸せが俺の幸せタイプ。でも、ゆうちゃんはそんな深見くんを見ていると不安になってしまうんですよね。
――かつての自分を見ているようで…。
それにやってもらうことは、あまりうれしくないかも…と初めて気付く。それはゆうちゃんの正直な気持ちですが、ズルい部分でもあって、とても人間味を感じました。
そうして振り返ることで、「あれ? 私、尚くんに何を求めていたんだっけ? 何をしてほしかったんだっけ?」と分からなくなってしまうんですよね。だって、深見くんに求めていることを与えてもらっているのにそれがうれしくないんだったら、「私はどうしたいんだろう?」となってしまう葛藤が第8話では、色濃く出ていたと思います。
――それでは、いよいよ終盤となる第9話以降の見どころを教えてください。
ゆうは、今度は自分と向き合っていくんですよね。1人の人間として、求めていることは何なのか。そして人生とは何なのか。
尚くんとのお付き合いがあって、深見くんと向き合って、その後ある出来事をきっかけに自分の幸せを探すというか、気づくというか…本当に成長の物語だなと感じます。
きっと30歳手前で結婚を考えている方や、長年付き合った相手がいる方は特に共感してしまうお話ではないかと思います。自分だったらどうするだろう?と考えながら見るのも一つの楽しみ方ではないかと思います。ぜひ最後までご覧ください!
取材・文=及川静