“ウタ目線”のカットには専用のレンズ前フィルターを
同作は、ウタというヒロイン目線で紡がれた物語でもあり、ヒビキとの恋、ヒビキが生きるこの世界への恋と壮大な愛の物語として描かれている。また、この“ウタの目線”というのが重要なキーワードとなっており、劇中でウタの目線で世界を見た時のフィルターがあることを明かしている。
ウタ目線のフィルターは、脚本家・ゲームデザイナーの佐藤直子による発明だったと荒木監督は話す。「佐藤直子さんがあるシーンで『ウタの見る光景は光に満ちていて、ウタはこんなにも世界を美しく見ていたのかとわかる』と書いてくれていて。それを演出方針として採用しました。具体的には“ウタ目線”もしくは“ウタの記憶”のカットには、専用のレンズ前フィルターを用いています。基本的には“シャボンの油膜越し”という説明ですが、四隅に微かなボケと色味を足していて、全体に明るさを上げる処理をしています」と詳細を語った。
現場ではこれまでにない試みの連続
このように“色”にとことんこだわった同作。美しくかわいらしい“明るくカラフルな映像を作る”という荒木監督の挑戦により、劇中では空や海はもちろんのこと、木々や花々といった自然が色鮮やかに描かれている。さらに、カラースクリプターという“色の専門家”を招き、美しい世界を作り上げるためのコーディネートをしてもらうなど、これまでにない試みの連続だったという。
佐藤は「失ってしまった青春の一瞬のきらめきを表現したかった」と、この世界に生まれて恋をするウタの青春を描きたかったと語っており、一瞬一瞬のいとおしさやこの世界に生きることの豊かさを教えてくれる存在として描いている。
なお、同作は劇場公開に先駆けてNETFLIXで全世界配信中だ。