国民的アイドルから演技派俳優へ
ユン・ゲサンの新たな魅力が堪能できることも大きな注目ポイント。彼にとってこのドラマは久々のコメディ。出演作にはサスペンスやアクション物が多いが、現場に血が多くて、暗くなることもあるそうで、ファンタジー物をやってみたくて、この作品を選んだという。
「キス・シックス・センス」を選んだ動機はほかにもある。彼は一昨年2020年に脳動脈瘤が見つかり手術を受けた。このことは彼の考え方に変化をもたらし、「成功、失敗関係なくいろいろ挑戦してみよう」と思うようになったという。「病気になる前だったら、この役は自分に合っているのかどうか考えてしまって、断っていたかもしれない」と。そんな身構えない姿勢が演技にも表れたのか、肩の力が抜けた彼を観ることができる。
ユン・ゲサンは1978年12月生まれの44歳。現在は“演技派俳優”として知られているが、実はアイドルグループ出身だと聞くと、驚く人も多いのでは。韓国の第一世代アイドルグループ“god”のメンバーとして1999年にデビューし、驚異的な記録をいくつも打ち立てて一時代を築いた(当時のプロデューサーはJ.Y.Park)。が、2004年に脱退し俳優の道へ(※2014年のgod再結成からメンバーに復帰)。
俳優転身後は、朝鮮戦争を背景にした3人の男女の愛と友情を描いたドラマ「ロードナンバーワン」(2010年)やシットコム「ハイキック3~短足の逆襲~」(2011~2012年)、アクションノワールドラマ「ラスト・ゲーム」(2015年)など、様々なジャンルに出演してキャリアを磨いてきたが、“演技派俳優”の位置を決定づけたのは2017年の映画「犯罪都市」。彼にとって初の本格的な悪役で、血も涙も無い極悪非道な朝鮮族のヤクザを見事に演じきって大きな称賛を得た。
“見たことないユン・ゲサン”に胸キュン
恋愛ドラマの出演も意外に多く、「愛に狂う」(2007年)では自分が轢き殺してしまった男性の妻と恋に落ちる役で、年上女性との悲恋展開に世のおねえさま方を泣かせ、「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン」(2011年)ではヒロインに片想いする高スペックな心やさしい韓方医役で日本でもファンミーティングが開かれるほどの人気を博した。
また、アメリカの同名ドラマのリメイク「グッドワイフ~彼女の決断」(2016年)ではヒロインの不倫相手として彼女の夫とバチバチにやり合い、「チョコレート」(2019年)では複雑な生い立ちのせいで心が冷え切ってしまった脳神経外科医が1人の女性とのかかわりを通して温かい心を取り戻していく様子を丁寧に演じた。
そして、今回の「キス・シックス・センス」では、仕事はデキるがヒロイン・イェスルにいちいちキツく当たる上司役。これまで彼が出演してきた恋愛モノは、9割方アンハッピーな内容で彼の役柄もマジメで寡黙な性格が多かった。だが今回はコメディ。イヤミたらたらで憎たらしさ全開のユン・ゲサンは初めて観るし、ツンデレキャラでデレデレの彼も初めて。
妄想シーンでのド変態キャラでイジリー岡田並みの高速舌ペロを披露したかと思えば、泥酔したり号泣したりするイェスルを包み込むような優しい眼差しで見つめて包容力を感じさせる。大事にしているインテリアが壊れたらわかりやすくどんよりMAXでヘコんだり、くだらない痴話ゲンカでギャーギャー言い合う姿やマヌケな姿も新鮮だ。
また、グッとくるセリフやシーンもてんこ盛り。
ミヌと寝る未来の場面が信じられなくて、もう1度確かめるためにキスしたい、と言うイェスルに対して「言い出したのは君だ」と言い放って力強くキスしたり、「俺は好きな女としか寝ない。だから寝るなら恋愛しよう」「キスはしたいときにする。それから、キスした日は泊っていけ」「心配するな。俺となら悪い未来を見ることは絶対無いから。俺が見させない」など撃沈ワードが次々飛び出す。
“寒っ”となりがちな言動の数々も、40代半ばの彼が気負いのない口調で言うと大人の男の余裕すら感じられて、翻弄されてみたくなるから不思議だ。ビタースイートな雰囲気にはイェスルじゃなくても揺さぶられてしまう。
とにかく“見たことないユン・ゲサン”オンパレードで、「あれ?ユン・ゲサンってこんなにセクシーだったっけ?」「こんなにチャーミングだっけ?」ドキドキさせられっぱなしで、気づけば“ユン・ゲサン堕ち”してるはず。
劇中、イェスルが今まで知らなかったミヌの一面を知るごとに彼に魅かれていくように、私達はこの「キス・シックス・センス」で、ユン・ゲサンの新たな魅力を発見してときめくのだ。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/kiss-sixth-sense
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