どんな場合でも多かれ少なかれ何かのタイアップだと思って書いている
「勿忘草」はテレビ朝日「お願い！ランキングpresentsそだてれび」9月度エンディングテーマ。ほかに、BS1スペシャル「侍たちの栄光～野球日本代表 金メダルへの8か月」(NHK BS１)テーマソングの「HIGH FIVE」や、ドラマ「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京系) オープニングテーマ「ever since」など、5曲のタイアップソングが収録されている。
多くのリスナーに歌を届けられる好機となる一方で、アーティストを悩ませることもあるというタイアップ。しかしながら、高橋にとってタイアップはあまり特別なことではないと笑う。
「『ever since』は、ジェーン・スーさんの原作を読ませていただいて、ドラマに向けて書いたもので、僕の中でそれは“表のタイアップ”と呼んでいるものです。僕は、曲を作るとき、どんな場合でも多かれ少なかれ何かのタイアップだと思って書いているんですよ。たとえば、友人Aさんへのタイアップソングとか、映画を観て感動したから誰に頼まれたわけじゃないけど、僕ならこのエンディングテーマを書くな…と思って作ることもありますね」
マッチングアプリで出会った男女の胸のうちを赤裸々に描く「沈黙の合図」も、ある意味で、見知らぬ男女へのタイアップソングなのかもしれない。かみ合わない2人の感情がなんともいえない面白みを醸すナンバーで、思いがけないラストはサウンドアレンジの効果もあり、まるでホラー映画を観たかのようなぞわっとした感覚にすらさせられる。何とも不思議な魅力を放つ楽曲だ。
「きっかけは、マッチングアプリで出会ったであろうカップルを目撃したことです。それを機に1コーラスを書いてみたんですが、実は僕の周りにもマッチングアプリで出会いを求めている人がいて。あるとき、相手の男性に『なんて送れば喜んでもらえるかしら』と聞かれたので、何通か代筆もしましたよ( 笑)。
歌の中の2人は、全然かみ合ってないけど、最後には、『もう一軒くらいなら…』と続いていく。歌の後で、2人はどんよりした終わり方をするかもしれないし、意外と明るい未来になるかもしれません。案外、意外性のある2人の方がうまくいったりすることってあると思うんですよ。友達に対して『どうして、あいつなの？』って驚いたこと、あるんじゃないでしょうか(笑)。」
ちなみに、高橋自身はスマホのアプリやコンテンツとは一定の距離を保つようにしているという。惰性で見続けないよう、アラームを鳴らすというからかなり徹底しているようだ。
「僕がスマホをずっと見ているときって、たいていダメなときなんですよ。将棋のアプリを見るとか目的があればいいけど、ただ流し見してると、段々閲覧注意とか衝撃動画とかが見たくなってくる(笑)。動画サイトを見るときは、10分でアラームが鳴るように設定しています。
何もしなくても楽しいものが手に入る今、エンタテインメントの生まれ方が以前とは違うなと感じます。世に溢れるエンタテイメントを、ただ無作為に見続けることは、ある意味で自分の時間を奪われ、削られてしまうことでもあるのかなと思ったりもしますし、そう考えると何だか怖くもなります。シンガー・ソングライターにとって曲を作ることは魂を削ることでもあるけど、意図的に命を削れることがあることは幸せなことなのだなと思いますね」
収録曲●あいのうた／STAND BY ME!!!!／HIGH FIVE／勿忘草／I LIVE YOU／forever girl／沈黙の合図／氷の世界／ever since／雪の筆跡／ピーナッツ／Piece
高橋優＝1983年12月26日生まれ、秋田県出身。2010年にメジャーデビュー。以降、CM曲、ドラマ主題歌なども手掛けるなど精力的に活動。2016年より自身主催の野外音楽フェス「秋田CARAVAN MUSIC FES」を地元秋田にて開催している。12/23（金）の神奈川・よこすか芸術劇場公演を皮切りに「高橋優 LIVE TOUR 2022-2023『ReLOVE & RePEACE ～ReUNION 前編～』」を開催する
公式HP
https://www.takahashiyu.com/
