<ドラマアカデミー賞>監督賞は「silent」チーム 『スタッフ・俳優のエネルギーと気概に助けられて11話を描き切ることができました」』(風間太樹監督)
2022年10~12月放送ドラマを対象に開催した第114回ザテレビジョン・ドラマアカデミー賞の受賞者を発表中。監督賞は、川口春奈主演の「silent」(フジテレビ系)を手掛けた風間太樹監督、高野舞監督、品田俊介監督が受賞。途失聴者と聴者の恋を描いた同作で、「余白をうまく使った映像で世界観を構築」「音のある世界とない世界を巧みに切り替えた」と評価された。
“スタッフ・俳優のエネルギーと気概に助けられた”
受賞インタビューには、風間監督と高野監督が登場。受賞を受けて風間監督は、「ありがとうございます。演出に着眼していただけたことをうれしく思いながら、同時に映像表現への妥協なき姿勢を貫いてくださったスタッフと、『silent』の世界に生きた全ての俳優に感謝します。そのエネルギーと、寄り添い合う気概に助けられ、連続ドラマ11話を描き切ることができました」と感謝。
主演女優賞の川口については「自分の心の内側から生まれ出てくる気持ちにうそをつかない姿勢で、作品における自分の役割を誰よりも意識しながらも、感覚的に躍動する。カッコつけずに、無防備なまま力強く立っている。その姿がたくさんの方の胸に響いたのだと思います」と絶賛した。
また、高野監督は「私は3話から演出に関わったため、その時点で川口春奈さんは紬に、目黒蓮さんは想、夏帆さんは奈々として、それぞれの俳優が迷いながらもキャラクターとしてしっかりと生き始めていました。なので、私はお芝居として生み出されるものを逃さず受け取るということに集中できました」と撮影を振り返った。
同作では、これが連続ドラマデビュー作となる生方美久氏の脚本も注目された。両監督は、「ひたすらに丁寧で、物語を動かすために事象を起こすといったことを排除し、人々の感情を繊細に描く脚本に魅力と共に覚悟を感じました」(高野監督)、「一人一人の背景や抱えた葛藤に、とにかく時間をかけて寄り添うシナリオでした」(風間監督)と、それぞれに賛辞を送った。
「silent」は、川口の主演女優賞、目黒の助演男優賞、夏帆の助演女優賞、監督賞、ドラマソング賞(Official髭男dism「Subtitle」)の5部門を制覇している。
(取材・文=小田慶子)