昂太の更なる嘘に震える陽子…
預金通帳が見つからないと陽子から相談を受けた弁護士は、すぐに銀行へ行って「取引明細を出してもらってください」と指示。陽子がその通りに銀行へ行くと、担当者が出してきた明細書には2,000万円という多額の移動履歴が見つかった。
いったい何事かと質問した陽子に、担当者は怪訝な顔で「先月、ご主人の会社の口座に移動したもの」だと告げる。青ざめて明細書をめくる陽子に、担当者は「3年前、ご自宅に抵当がついたのは、さすがにご存知ですよね?」と質問。当然知らない陽子が目を白黒させていると、「ここ2、3カ月は元本の返済をお待ちしていまして…」と続ける。
担当者の話によればそれぞれの手続きをおこなう際、昂太は陽子名義の委任状と実印を持ってきて「妻は同意の上」と説明したそうだ。委任状まであればと手続きに従った担当者だが、さすがに陽子の顔色を見て「ご主人に確認を取りましょうか」と慌てた様子に。しかし財産を確認していると知られたくない陽子は、「忘れてただけかも」と担当者を引き留めるしかない。
覚悟を決めて、他に昂太だけでおこなった手続きはないかと尋ねる陽子。すると担当者は硬い表情で、「息子さんの学資保険、解約されました」「ご両親の遺産も、ご主人の会社に移されています」と驚愕の事実を告げるのだった。
家に帰り、いよいよ鬼気迫って昂太の部屋で通帳を探す陽子。しかし見つかるのは出張と言って出かけた札幌のホテルの領収書や、女モノのブランドアイテムを買い漁って26万円にも膨れ上がった請求書といった書類ばかり。次々見つかる裏切りの証拠に胸を痛めていた陽子だが、不意に凪からの声がかかると凍り付いてしまう。
うす暗がりに涙目を隠しながら「探し物をしていただけ」と話した陽子だが、凪からは意外な言葉が。「僕は、パパとママが離婚するのは嫌だな」とだけ告げると、凪はすぐに「何となくそう思っただけ」と笑顔でその場から立ち去るのだった。
裏切りの連絡は、決定的な証拠の糸口?
凪の一言は、明らかに何かを察しているものに思える。愛する息子の言葉に頭を抱える陽子のスマホが、小さく震えた。メッセージの内容は、昂太からの「シナリオの件で遅くなりそう。先に寝てていいよ」というもの。またも裏切りの嘘が陽子を苦しめる。
しかしそこで、陽子の脳裏を弁護士の言葉がかすめた。決定的な不倫の証拠を掴むことができれば、事態は大きく動くはずだからだ。
急ぎタクシーで昂太の会社へ向かう陽子。外から社屋を見上げると、1つだけ明るい一室の窓に男女の影が見える。場面は切り替わり、オフィスと思しき場所で昂太と理央が抱き合っていた。勢いあまって机にぶつかりつつ、言葉もなく肌をあわせる2人…。
陽子は灯りの見えた部屋へ向かい、扉の前で強くスマホを握りしめる。ドアの向こうに待っている光景を想像してしまったのか、表情は辛そうに歪むばかり。しかし一転目の奥に火を灯すと、スマホのビデオモードを起動して扉を一気に開くのだった。