全部が僕は足りないと思ってる
「歌だけでご飯が食べれるほどのシンガーではないと思ってるんです。作曲だけで、いい車が買えるような作曲家でもないと思ってる。作詞だけで世田谷に家が建つとも思ってない。アレンジだけでもそうだし、演奏でそれがそうなるとも思ってない。全部が僕は足りないと思ってるんで。
だったら全部をつかって、パッケージされたときに初めてそこそこいけるんじゃないかなって、デビューからアルバム3枚目ぐらいで思ったんですよ。(略)本能的に歌だけじゃミュージシャンとしてはやっていけないなって、気づいてたんだと思う」(「関ジャム 完全燃SHOW」2017年9月10日テレビ朝日系)
2010年には大河ドラマ「龍馬伝」(NHK総合ほか)で主演を果たし、現在は「龍馬伝」でも共演した盟友の大泉洋を相棒に「ラストマンー全盲の捜査官ー」(TBS系)で主人公の全盲の捜査官を演じている。時に「何を演じても福山雅治」などと揶揄されることもあるが、そんな批判は無意味だ。
何しろ福山自身が、「福山雅治」をど根性でブレずに演じてきたのだから。福山雅治は自分が好きなものと、自分が求められるものとの間――、大地と空の間を軽やかに飛んでいるのだ。
文=てれびのスキマ
1978年生まれ。テレビっ子。ライター。雑誌やWEBでテレビに関する連載多数。著書に「1989年のテレビっ子」、「タモリ学」など。近著に「全部やれ。日本テレビえげつない勝ち方」
※『月刊ザテレビジョン』2023年7月号