神木隆之介主演の連続テレビ小説「らんまん」(毎週月~金曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか)。第8週「シロツメクサ」より、伊礼彼方演じる高藤雅修(たかとう・まさなり)が登場している。元薩摩藩の実業家で、寿恵子を見初め、万太郎にとっての恋敵となる役どころだ。このたび、WEBザテレビジョンでは伊礼にインタビューを実施。撮影現場の様子や演じる役柄への思い、エピソードなどを語ってもらった。
“朝ドラ”初出演に歓喜「願いはかなうものですね!」
――伊礼さんは“朝ドラ”の出演は今回が初めて。決まった時はいかがでしたか?
とてもうれしくて飛び跳ねました。
ずっと舞台出演が詰まっていたこともあり、(撮影があった)3月は丸々1カ月休む予定でした。ちょうどそこに「らんまん」の撮影期間がハマったので、こういった運命的なことはあるのだなと。
というのも、数年前から映像に挑戦したい思いがあり…。舞台をずっとやってきた中で、細かい芝居はなかなか後列までは伝わらないなど、どうしても表現の幅に限界を感じることがありました。もうひとつ上のステップへ行きたいという俳優としての思いは数年前から持っていたので、こうやって映像のお話、しかも“朝ドラ”という夢の大舞台に立つ機会をもらえて、非常にうれしかったです。願いはかなうものですね!
――“朝ドラ”にはどのような印象をお持ちでしたか?
“朝ドラ”や大河ドラマへの出演は、芝居をやっている人からすると夢ですよね。
過去にドラマには何度か少し出たことはありますが、一般的なドラマは、現場へ行ってすぐに撮り始めることが多いのに対し、“朝ドラ”は月曜にその週のシーン全部の稽古をして、火曜日から撮影が始まるんです。舞台と近いやり方だったので、かなり安心して演じられましたし、いろいろなことが試せたので舞台役者にとってありがたい方法だなと思いました。
話題になった“二度見”は「放送で見た時は思わず笑ってしまいました」
――具体的にはどういったことを撮影の中で試したのでしょう?
例えばおでこのシワを寄せたり、目を釣り上げたり、頬の筋肉を動かしたりといった細かい芝居を試しました。あとは話題になった「二度見」もです(笑)。
舞台上でもよく二度見はするのですが、フィーチャーされたことも、そこに効果音が乗ることもなかったので、放送で見た時は思わず笑ってしまいました。
二度見の件もそうですが、お客さんが見たいところを見る舞台と違い、映像は監督や編集者が意図して見せたい場面を見せるじゃないですか。その意図を感じ取りながら演じることの面白さは「らんまん」で初めて経験しました。
そして「こういう素材が欲しいのかな」と考えて演じつつ、チェックモニターで確認し修正しながら芝居をしました。その場で調整していたので、手応えのある部分と「もっとこうしたらよかった」という反省点のどちらも感じていますが…。
――これまでの舞台での経験を生かせた部分はありましたか?
立ち姿は生かされたのではないかなと思います。そしてダンスシーンも、舞台をやっていなければなかなか地に足がついた表現はできなかったと感じています。
そして、普段の舞台では貴族や女たらしなど、女性とスキンシップを取る役柄を演じることが多いので、いやらしくなく手を取る仕草が自然に見せられているのも、舞台の経験が役に立っていたように感じます。