家、財産、親権…すべてを手放さずに迎えた最高のエンディング
陽子の芝居に肝を冷やされ、凪にも決定的に拒絶された昂太。「自業自得」と切り捨てる陽子の言葉に、昂太は大声を上げて力任せに陽子を付き飛ばす。すると陽子は家具に激突し、血を流して倒れてしまう。
額から血を流して起き上がらない陽子。大きな音を聞いてなのか、家に駆けつけた加集朋美(安藤聖)が救急車を呼ぶ。そして観念した様子の昂太は「俺がやった」「通報してくれ…」と放心して立ち尽くすのみ…。
眉の上を切ってしまった陽子だったが、命には別状がなかったようだ。場面が切り替わり、弁護士と対面するその姿は普段と同じ凛と背中が伸びている。弁護士からは家、財産、親権…そのすべてが当初の目標通りに陽子の手へ収まったことを喜ぶ声が。陽子は嬉しそうに微笑みつつ、次は体を患う弁護士の力になると宣言するのだった。
後日、平穏な生活を取り戻した陽子と凪。薬を処方する代わりに患者である吉野芽衣(結城モエ)に昂太を尾行させた件も、理事長である大庭学(長谷川初範)の判断で不問に付す決定が下った。実は大庭自身、かつて妻に先立たれたことでアルコール依存症に陥り、病院の院長を退いたという経緯がある。夫に裏切られながらも酒や薬に逃げることなく闘った陽子を、責める気にはなれなかったのかもしれない。
「医者は、お前さんの天職だと私は思ってるよ」。過ちを反省していた陽子は、大庭の言葉に感動して医者を続けることを決意する。かつて親友でありながら昂太の不貞を隠していた相沢佳奈子(内田慈)とも仲直りすることができ、文字通り“昂太だけを世界から排除する”ことに成功した形だ。
ある日、海の見えるテラスで凪と並んでいた陽子。「夫婦ってなんだろう。愛し合って一緒に歩んできたはずなのに、何故裏切り、傷つけあうのか…」と独白していると、視線の先には昂太と理央の姿が。「凪、ゲーム教えて」と対面に座っていた凪を隣に呼び寄せ、おそらく街を出ていく直前なのだろう昂太に凪を見る最後の機会を与える。
辛そうに顔を固くする昂太。凪も昂太に気づいたようだが、視線は一瞬でゲームに戻る。その姿でついにすべてを諦めたのか、昂太は意気消沈したまま自身の車に乗り込むのだった。それを見送りながら、「もう振り返らない」と決意した陽子。陽ざしを正面から受けて輝く顔は、穏やかな表情を浮かべていた。