俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第19回は、出演する舞台「笑ってもいい家」について聞きました。
※インタビューは舞台開幕前の2023年6月中旬に行いました
加害者家族たちの心の再生を描く人間ドラマ
──7月9日(日)まで上演されている「笑ってもいい家」(東京・俳優座劇場)に出演されます。どんなストーリーでしょうか?
事件を起こした加害者の家族たちの心の葛藤を描いたヒューマンドラマです。簡単にいうと、世間から苛まれている加害者家族たちが集まって、心が安らぐ場所「笑ってもいい家」を作ろうという物語です。
──染谷さんはどんな役ですか?
僕も加害者家族の一人を演じます。美容師の仕事をしていたのですが、家族が犯罪に手を染めてしまい、その結果、仕事を失ってしまう。そんなときにある人との出会いをきっかけに、自分と同じような境遇の人たちが都会から少し離れた山奥でひっそりと共同生活をしていることを知り、そこで暮らすようになります。
──主演は中村アンさん。そのほか下尾みうさん(AKB48)、久保田悠来さん、高橋光臣さんなどが出演します。これまで共演経験がある方はいますか?
みなさん、初めましてです。でも個性豊かな方ばかりなので楽しみですね。中村アンさんとは「あいの結婚相談所」というドラマ(2017年)でご一緒したことがあるのですが、同じシーンで絡むことはなかったので実質今回が初共演です。勝手なイメージですが、しっかりと芯が通っている女優さん。今回が舞台初主演だそうですが、華もある方なのできっと素敵に演じられると思います。
──脚本・演出は、演劇集団Z-Lion主宰の粟島瑞丸(あわしまずいまろ)さん。作品について何かお話されましたか?
最初の顔合わせのときにしました。重いテーマなので、どんな作品になるのかを聞きました。すると「心が温かくなる作品にしたい」とおっしゃっていました。なので暗いお話ではなく、見終わったあとに、前向きな気持ちになれる作品になると思います。
「見てくださった方に、何かを感じてもらえたらうれしい」
──もし自分が加害者家族だったら、現実を受け入れることはかなり大変だと思います。
そうですね。今の時代、SNSで加害者家族を匿名で誹謗中傷する人もいます。それはもちろんよくないことですが、自分が被害者家族の立場だったら、加害者家族に対して「笑ったりしてないでよ」とも思ってしまうかもしれません。犯罪は決して許されませんが、もし自分の家族が起こしてしまったらと考えると、家族なので簡単に見放せないでしょうし、本当に難しい。そういう意味でも、すごく深く考えさせられる作品です。
──染谷さん自身は、どのような役づくりを考えていますか?
今回は初めて共演する方ばかりで、みなさんがどんなお芝居をされるのかまだ分からないので、事前にガチガチにキャラクターを固めることはしません。稽古を通して、みなさんの演技を見て、僕の役が作品の中でどういう歯車になるのか見極めながら組み立てていきたいです。
──難しい役になるかと思いますが、俳優・染谷俊之の新たな一面が見られそうですね。
どういう演技が正解なのかはまだ分かりませんが、「カミシモ」(※注1)の高砂(真夜)とは正反対のテンションになることは間違いないです(笑)。
※注1:舞台「あいつが上手で下手が僕で シーズン2」(2022年11~12月)
──改めて作品に対する意気込みをお願いします。
作品のテーマは重いですが、「笑ってもいい家をつくろう」というお話なので、笑顔が多い作品になると思います。加害者家族が本当の笑顔を取り戻す姿をリアルに表現したいです。もちろん、加害者家族が笑うことを許さないという人も中にはいるでしょう。それに対して否定はしません。価値観は人それぞれなので。それでも見てくださった方に、何かを考えるきっかけというか、何かを感じていただけたらうれしいです。