コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、Twitterやpixivで漫画を投稿している、おくらさんの『円満追放』をピックアップ。
Twitterで2023年7月8日に投稿したところ、6万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、おくらさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
仲間と一緒に楽しく冒険をしていたつもりが…突然のクビ宣告!?
「ハイン お前はクビだ」
パーティーメンバーからの突然の宣告に戸惑う術士ハイン。みんなで楽しく、何の問題もなく冒険を続けていたと思っていたのに、どうしてそんなことになってしまったのか――。ハインが理由を尋ねると、ずばり「貢献のしすぎ」だという。
ハインは優秀な術士であるがゆえに、ヒーラーとして貢献しすぎてしまい、結果、ほかのメンバーにとっては実力の伴わないSランクのパーティーに認定されてしまったのだ。
最初のうちは、「Sランクは分不相応で、ハインがいなくなったら自分たちは簡単に壊滅してしまう」という不安を並べているように会話が進んでいくが、実はハインの夢を知っていたメンバーが背中を押すために「円満追放」という形をとったということがわかる。
「お前は研究者だ 術の研究がしたいんだろう」
メンバーはそう問いかけると、こっそり貯めていた資金を手渡し、笑顔で新しい冒険へと旅立っていく。ハインはメンバーを見送りながら、「みんなといるのが本当に楽しかった!」と何度も伝え、パーティーの今後の活躍を祈りつつ、夢へと向かって歩み始める。
――その後、ハインは多くの人が使える回復術を編み出し、世界中から敬われる優れた術士・研究者として大成した。昔からの夢をかなえたハインであったが、今でも変わらずこう思っている。「仲間たちと旅をしていた時が人生で一番楽しかった」と。
「みんなに会いたい」と穏やかな表情を見せるハインとは裏腹に、今もどこかでドタバタと冒険を繰り広げているメンバーの様子で作品は終わっている。
Twitterには、「大好きなストーリー!」「めっちゃいい話でほっこりした。」などのコメントが集まり、続編を望む声も多数寄せられている。
作者・おくらさん「読む人の記憶に残るようなものを描いていきたい」
――『円満追放』はどのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
異世界転生やパーティー追放のお話を読んだとき、自分だったらどういう話をつくるかなとぼんやりと考えながら過ごしていて、こんなのはどうかなというものが頭の中で固まってきたので、じゃあ形にしてみよう、と挑戦したのが今回の作品です。
――今作を描くうえで、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。
追放する理由、される理由、その状況、そこに至る人物たちの考えや性格などが、ちゃんと納得できるものになるように心がけました。
こういう展開にしたいからこういう人物にする、のではなく、こういう人物だからこういう展開になる、というつくり方を大切にしています。
――作品のなかで、おくらさんが特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ハインがパーティーのみんなと一緒にいたことを何度も「楽しかった」と言うところです。
彼は研究者で、本来の活動が疎かになっているのをわかっていながらそれでも一緒にいたのは、彼にとってパーティーが本当に居心地の良い場所だったから、ということが表現できたんじゃないかなと思います。
――作品へのコメントを見ると、続編を望む声が複数ありました。続編を描く予定はあるのでしょうか?
続編はいまのところ考えていません。今回のお話でやりたいことはちゃんとできたかなと思っています。でも描いていて楽しかったので、描きたくなったら描くかもしれません。
――おくらさんの今後の展望・目標をお教えください。
自分はすごく筆が遅くて、もっと描くペースを速くする、というのをずっと課題にしてきたのですが、これが非常に難しくて。
最近は、人がものをつくるペースは人それぞれにあるのだと思うようにして、遅筆でもせめて自分の納得がいくものをつくっていきたいと考えています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
できる限り丁寧に誠実に、読む人の記憶に残るようなものを描いていきたいと思っています。
これからも応援してもらえるように、そして楽しんでもらえるように頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。