ピエトロとアンナがエトナ火山で見た景色とは
一方、迷子になってしまったアストルは森の中で靴を磨く1人の少年・ンドラヴェケと出会う。ンドラヴェケはアストルに人形劇を見せ、2人は友達になる。
その頃、アンナとピエトロはエトナ火山に到着するも、火山はヌッチという少年が牛耳っており、“火山に入るには許可がいる”と脅してくる。ピエトロがヌッチを無視して山に入っていくと、ヌッチの仲間に捉えられ、ピエトロは頭に鉄製のジョウロを被せられてしまう。その後2人は解放されるのだが、ピエトロのジョウロは外れないままで、2人は手を取り合いながら火山を登り頂上を目指す。
やっとの思いで頂上へ着くも、サヴェリオが語るような“新しい世界への入り口”はどこにもなかった。またサヴェリオの“特別なメガネ”をかけてみても、ジョウロのせいで様子が伺えず、ピエトロはアンナにメガネを渡す。するとアンナは実際には何も見えていないにもかかわらず、「まるで光るクラゲみたい」「すごくきれい」などと嬉しそうに話し、“魂が見えた”と嘘をついた。
明け方アンナが目を覚ますと、ピエトロは山間から落下し、頭を強く打って意識が朦朧としていた。その後リュックの中のビニール袋で自分を楽にしてほしいとアンナに頼み、安らかな眠りにつく。
そして大切な人を失ったアンナは、悲しみの中、エトナ火山を走って下って行くのだった――。
孤独なピエトロ少年を救ったサヴェリオの存在
第5話では、アンナが“青い子供”の集団からようやく抜け出すも、すでに“赤い病”に侵されていたピエトロと哀しい別れを経験することになってしまった。
またピエトロの幼少期に、“死”に対する考え方が形成されたルーツも明かされた。ピエトロとサヴェリオがしていたことは、傍から見ればただの犯罪だが、天涯孤独になってしまったピエトロはサヴェリオを信じる他なかったのだろう。“赤い病”が蔓延する世界では、もはや「善」と「悪」の境目がなくなるほど無秩序と化していたのだ。
サヴェリオも生きていくにはこうするしかなく、ある意味サヴェリオのおかげでピエトロも孤独にならず生きられたとも言える。そして最後の力を振り絞って火山を登ったピエトロは、アンナのやさしい嘘に救われることになる。
また本作ではこれまで暗い屋敷やゴミ山が舞台として描かれていたため、今回のシーンでアンナとピエトロが見た、シチリア島の海の美しさが非常に印象的だった。景色を通して、絶望と希望の対比を表現しているのかもしれない。
ちなみに同話ではアンナがエトナ火山からイタリア本土を見ているシーンがあったため、最終的に姉弟は本土を目指す可能性も考えられる。ピエトロを失ったアンナは無事アストルと合流し、生き延びることができるのだろうか。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※種崎敦美の崎、正しくは「たつさき」
東宝