史朗「めでたい意外の何がある」
金森の長女には子どもが生まれて孫ができており、史朗は感慨深く感じるのだった。
史朗が告別式から帰宅すると、賢二は鍋焼きうどんを作って待っていた。海老天だけでなく飾り切りしたしいたけやかまぼこと三つ葉も入った鍋焼きうどんを見て、「豪勢だな」と喜ぶ史朗。賢二は「お店屋さんみたいな全部乗せの鍋焼きうどん、一度うちでやってみたかったんだぁ」と史朗にうどんをよそって渡す。
ゆげの上がるあったかい鍋焼きうどんを食べた2人。ごちそうさまと食べ終わると、史朗はおもむろに年を気にして誕生日祝いを拒否していた賢二に一緒に誕生日を祝いたいと提案する。
史朗は「長い人類の歴史のなかで、人間は飢えや戦争や流行り病でバタバタ死んできたんだよ。それに今だって若くして死ぬやつもいる。己のパートナーが大きな病気も怪我もなく無事ひとつ年を取ったんだよ、めでたい意外の何がある」としみじみと語る。賢二は感動した顔で「わかったよ、シロさん。やろ、2人の誕生会」と言い、史朗も笑ってうなづくのだった。
生活をともにする人と温かい食事を摂ってお互い健康であることを喜ぶ。当然のことかも知れないが、かけがえのない幸せを改めて感じさせてくれるこのドラマが大好きだと思えた。SNSでも「私達が気付いていそうで気付いていないささやかな幸せを、いつも本当に丁寧に描いてくれてるよねぇ…」「毎話染みるんだよね」「辛いとか悲しいとかじゃないのに涙が出る」「幾つになっても、美味しいご飯を食べて、語り合って、誕生日を祝い合えたら幸せだと感じた」と感動のコメントが多く寄せられた。
◆構成・文=牧島史佳
東宝