理不尽な世の中への怒り爆発…“石井ワールド”で描かれる作品たち
「愛にイナズマ」を手掛けた石井監督は、高校生のときに映画監督を志し大阪芸術大学に進学。大学時代は映画制作のためひたすらバイトをし、その資金を映画作りに注いでいた。その作風は人間味あふれる登場人物らによる掛け合いやリアルな感情にフォーカスしたヒューマンドラマが多く、見る者はもちろん演者側にもファンが多い。
代表的な作品と言えばやはり2013年公開の「舟を編む」だ。出版社の辞書編集部を舞台に新しい辞書づくりをする人たちの姿を描き、主演の松田龍平やヒロインの宮崎あおいの自然であたたかみのある演技や、優しい作品作りが評価され、第86回アカデミー外国語映画賞の日本代表作品に選出された。
石井監督が手掛ける作品は、「舟を編む」以外にも数多く存在する。例えば2018年に公開された映画「町田くんの世界」では、別冊マーガレットで連載された同作コミックを実写化しており、当時演技経験がほとんどなかった新人の細田佳央太と関水渚を抜擢し、そのフレッシュな演技が話題になった。
2020年に公開された「生きちゃった」では、高校時代の幼馴染3人の“浮気”をきっかけに徐々に関係がゆがんでいく様を描き、そのあまりのリアルなセリフ回しや感情表現に、ネット上では「思わず目を背けてしまった」という感想も見られた。
また韓国人スタッフ&キャストを迎え、すべて韓国ロケで作り上げられた作品「アジアの天使」も見どころ満載の作品。韓国で問題になっている貧困問題を中心に、家族の形を模索していく様子が注目を集めた。(いずれもHuluで配信中)
石井監督と言えば、今回コロナの世界での物語を描いた「愛のイナズマ」のように、世相を反映させたり誰しもが感じたことのある理不尽な世界に切り込む作品が特徴的。
実際に2021年に公開された「茜色に焼かれる」では、コロナ渦により社会的弱者になりながら信念を貫き生きていく母親を尾野真千子が演じ、格差社会や理不尽な社会で踏ん張る様子を描いた。誰もが共感できる現代社会にフォーカスしたことで、踏ん張る先に見せる人間の絆やあたたかみが感じられる作品となっている。
石井監督はこれからも理不尽な世の中に問題を提唱し、その中の人間らしさを表現し続けてくれるだろう。また役者たちの迫真に迫った演技を引き出している点も、石井監督作品の魅力と言えるかもしれない。
https://www.hulu.jp/masked-hearts
■Hulu「町田くんの世界」視聴ページ
https://www.hulu.jp/almost-a-miracle
■Hulu「生きちゃった」視聴ページ
https://www.hulu.jp/all-the-things-we-never-said
■Hulu「アジアの天使」視聴ページ
https://www.hulu.jp/the-asian-angel
■Hulu「茜色に焼かれる」視聴ページ
https://www.hulu.jp/a-madder-red
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