長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『ヤギと大悟』(毎週金曜夜7:25-、テレ東系)をチョイス。
「ヤギと大悟」懐かしの勝沼ぶどう郷の思い出
『ヤギと大悟』が勝沼ぶどう郷に行っているらしいと聞いてすかさず鑑賞、今、わざわざ表立って言う気恥ずかしさみたいなものもあるのだが、やっぱり大悟ってめちゃくちゃ面白いですね、となってしまう番組で、しかもゲストが、中学生の私がテレビで見た『20世紀少年』で完全に恋してしまった平愛梨、さらにヤギ、そして場所は勝沼ぶどう郷。良いものしか映っていない至福のひと時……と言いたいところだがそうでもなく、ヤギのフンもしっかり映る(こと自体は素晴らしいと思うのだが)ことに驚いた。数年前、家の前に動物のフンが落ちていただけで4日寝込んでしまった程、ウンコというものが怖いのだ。番組内では、フンの処理を演者自ら担当していたが、もし自分だったらと思うと恐ろしい。『ヤギと大悟』から出演のオファーをいただいてもお断りさせていただくことになる。申し訳ありません……。
何より勝沼ぶどう郷である。単に行ったことがあるというだけなのだが、車窓からの景色が異様に美しく、特に何というか、”奥行き”というものに感動して、山梨旅行の途中、思わず電車を降りてしまい、２時間散歩をした思い出がある。平愛梨と合流した駅前の様子もしっかりと見覚えがあって、昼食にほうとうを食べた食堂『銀月食堂』もしっかり登場していた。私が訪れた際は平日ということもあってか、ほとんど人とすれ違うことはなかったのだが、番組内ではぶどう狩りの行列ができていた。行ってみたいなあ、ぶどう狩り、私は果物の中でも、ぶどうを高く評価している。そういえば、勝沼ぶどう郷を散歩していた際、「ぶどう泥棒に注意」という看板があって、勝沼ぶどう郷にぶどうを盗みに来るような、そんなデデデ大王みたいな泥棒がいるのかと驚いたのを思い出した。
冒頭で話したような超・個人的な苦手要素はあるものの、しかしとにかく面白い番組で、これまで見たことがなかったのが悔やまれる。現地住民との交流も非常に微笑ましいというか、質問で攻めて面白いことを言わせようみたいな下心がなく、面白さの部分はプロである大悟の発言や返しに依存した形で、彼自身がしっかりとコミュニケーションを取っているので、見ていて安心感があるのだ。子供がカギを学校に持って行ってしまった為に家に入れなくなってしまった方や、自転車ですれ違ったあの学生とか、やはり、家の外に目を向けるだけで、色々なことが起きていて、色々なことに遭遇することができる。外に出て散歩のひとつでもしたくなる番組、やっぱり良い番組ってこれだと思う。何かがあるのは決まって外、内には何もない。
余談、勝沼ぶどう郷行ったとき楽しかったなあ……とiPhoneのアルバムを振り返っていたら、なんと、２年前の今日に訪れていた。2021年の11月24日、まさに今日である。驚いた。だから何なんだという話だが、しかし、感無量である。こういった、奇跡と呼ぶにも大袈裟な何物かを、うまく共有できた試しがない。
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