史朗「そこに俺も居るのかな」
「一目見たときからこの人なら大丈夫と思いましたけど」と峰子が言って史朗と笑い合うと、峰子は改まって史朗の方を向いて立ち止まり「これからも賢二をよろしくお願い致します」と深く頭を下げる。史朗は「はい…、いや、私の方が」と言って2人でほほ笑んで、また歩きだす。
駅前まで来て「じゃあね、おやすみ!」「気をつけて」と賢二たち姉弟は手を振り合い、峰子が頭を下げると史朗もお辞儀して応える。見送りながら賢二が「今度は割り勘にしようって。ま、またちょこちょこみんなでご飯食べようねってことだよね」と言うと史朗は「そこに俺もいるのかな」とつぶやく。賢二は「史朗さん、また素敵なお店選んでね」と言い、史朗がうなずいてほほ笑み、帰り道を歩きだすのだった。
史朗と賢二が家族になっていくように感じられ、温かい涙が溢れてとまらなかった。
◆構成・文=牧島史佳
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