映画「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝」のDVD・Blu-rayが12月6日に発売された。本作は累計500万部を超える大人気ボーイズラブ小説を原作とし、人に触れたり触れられたりすることができない「人間接触嫌悪症」のタクミと、大財閥の御曹司で容姿端麗、学内でも一際目立つ存在であるギイの恋を描く物語だ。今回、タクミ役の森下紫温、ギイ役の加藤大悟、2人のクラスメイト・赤池章三役の高橋璃央にインタビューを実施。改めて撮影の思い出や、長く愛される本シリーズの普遍的な魅力を語ってもらった。
「大悟くんは常に場の中心にいたりして、雰囲気がギイに近い」(森下)
加藤大悟 3人が揃うのひさしぶりだよね。
森下紫温 夏くらいに、僕と璃央くんで大悟くんの家に行ったんですよ。そのときぶりかな。
高橋璃央 僕は、滞在時間1時間ぐらいだったけど。
加藤 あー、俺がそのあと仕事で。
高橋 そう。そのあと僕と紫温はサウナに行きました。
──共演を機にプライベートでも仲良くなられたお三方ですが、改めて映画「タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝」について聞かせてください。森下さんはタクミ(葉山託生)、加藤さんはギイ(崎義一)、高橋さんは章三(赤池章三)を演じられましたが、それぞれ演じる役とご自身との共通点、もしくは相違点だと感じたのはどんなところですか?
加藤 ギイは完璧で、誰からも羨ましがられるスーパースター。僕とは真逆の存在だったのですが、僕はこの業界に入ったときから、そういう人に憧れていたので、自分の中での理想像をもとに、自分を俯瞰して見ながらギイを作っていきました。
森下 真逆じゃないですよね。
高橋 うん、近いよ。
加藤 いやいや!
森下 再三言っているんですが、僕は大悟くんにギイに近しいものを感じています。大悟くんは常に場の中心にいたりして、そういう雰囲気がギイに近いなって。
加藤 だって俺、楽屋で急に歌い出したりするじゃん。ギイがそんなことする?!(笑)
高橋 そういうことするからこそ、いつもその場のど真ん中なんだよ!(笑)
森下 そうそう! 僕はタクミくんとまず身長と血液型が一緒なんです。だから最初から親近感が湧きました。でも、僕は人に触れても全然大丈夫なので、そこは似てないところです。
加藤 逆に触れてくるタイプだよね。
高橋 自分からね。
──性格や内面で、似ている、もしくは似ていないと思うところはありますか?
森下 タクミくんは気弱なイメージがありますが、僕も自分からあまりガツガツいけないタイプ。それこそ大悟くんが、プライベートでもごはんに誘ってくれたり、撮影前に「家で読み合わせしようよ」って言ってくれたりして。作中でもタクミくんはいろんな人に支えられて引っ張られて進んでいったので、そこはうまく自分に落とし込めたなと思います。そういう部分でも大悟くんに助けられました。
加藤 (ニヤニヤしながら)何だって? 大悟くんに? ごはん連れて行ってもらったりとか? 撮影前に一緒に読み合わせしたりしたんだよね? ここ太字でお願いします!(笑)
森下 あはは(笑)。
──高橋さんはいかがですか?
高橋 僕と章三の共通点は落ち着いているところ。自分で「落ち着いてる」って言うのはアレかもしれないけど……。
加藤 落ち着いてるよ!
高橋 大悟ほど前のめりじゃないというか。(加藤は)表のドン、(自分は)裏のドンみたいな。その立ち位置がギイと章三の関係に似ているなと思いました。ギイと章三はどっちが引っ張るとかそういうことはなく、二人とも一緒という感じでやっていたのですが、その感じは同じかな。
──章三は友達思いでもありますが、そのあたりは?
高橋 友達のことは大好きですね。誰かの家の近くに引っ越して仲良くしたいって思ったり。
加藤 わかる、めっちゃわかる。一人の時間も必要だけど、常日頃から人と一緒にいたいんだよね。
高橋 そう! でも僕は狭く深くかも。
演技では「目を見て伝えることが一番大事」(加藤)
──タクミくんシリーズの実写化は2度目ですが、前作を参考にした部分はありますか?
加藤 していないです。もちろん参考として見させてはもらいましたけど、自分のギイを作りたかったので、役作りにおいて何かを参考にするということはなかったですね。自分の中での解釈で崎義一を演じさせていただきました。
森下 僕は最初、取り入れられる要素は取り入れようと思っていたのですが、今大悟くんが言ったことを現場で直接聞いて。実際に、自分の感性やオリジナリティをすごく大事にされていた。その姿を見て、自分の中で作り上げていたタクミくんを一度捨てて、自分にしかできない、自分の表現でのタクミくんを大事にしようと思いました。
高橋 僕も役作りという点では参考にしていませんが、文字だけでは分かりづらかった作品の雰囲気や、ギイと章三の関係性は前作を参考にさせてもらいました。役としては、自分のやりたいように演じたところ、監督から「高橋くんなりの章三になったからよかった」と言われて。その言葉はいい意味も悪い意味も含んでいると思うのですが、そういうふうに思ってもらえたならよかったなと思いました。もし続編があるなら、もっと進化したものを届けられたらと思います。
──お互いのお芝居や現場の居方で、印象的だったものがあれば教えてください。
森下 僕は今回が初めての映像作品だったので、それこそ大悟くんや横井(健司)監督に助言をもらいながらお芝居をしたのですが、その中で大悟くんが「こういうふうに言ってくれたら、こういうふうに言いたくなるよ」と、セリフじゃなく対話することの大切さを教えてくれて。……あれ? 何ていう質問でしたっけ?
加藤 出た! すみません、これ、彼の特性なんです、質問を忘れちゃうの!
森下 話しているうちに「あれ?なんだったっけ?」てなっちゃうんです(笑)。
──(笑)。お互いのお芝居や現場の居方で印象的だったものについてです。
森下 そうだ、そうだ! そう、それがすごく印象に残っていて。そのあとのお仕事も、その意識で挑むようになりました。
加藤 うれしいですね。僕自身もそんなにお芝居経験があるわけではないですが、僕も先輩に教えてもらったことがたくさんあるので、少しでも伝えられたらなと思っていて。でも「こういうふうに言ったらいいと思うよ」とかではなく「紫温はこのセリフを読んで、タクミとしてどういう気持ちになった?」っていう話し合いをたくさんしたんです。もちろん璃央ともしました。ギイと章三の仲の良さや信頼し合っている姿を、どうしたら見せられるんだろうか?って。僕は芝居というよりも、目を見て伝えることが一番大事だと思っているので、そこは僕自身も意識しました。
高橋 僕は、大悟と紫温がど真ん中としてずっと現場を引っ張ってくれて、居やすい現場にしてくれたことにすごく感謝しています。僕は初めての映画の撮影だったので、現場の雰囲気や周りに負けないように、ちゃんと両足で立たなきゃと思っていたのですが、その中で2人がいい空気を作ってくれたのでとても居心地がよかったです。(手にクッションを抱きながら)このクッションくらい居心地がよかった!
加藤 だいぶソフトだ(笑)。ずっと居たくなるくらいか。そう感じてもらえていたならよかった。
高橋 誰かがミスをしても、みんなが笑って受け止めてくれるし、でもずっといい緊張感も保っていて。すごく良い空気感でした。
ポニーキャニオン
発売日: 2023/12/06