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約460億円…台湾では国がコンテンツ産業を支援、有識者が語る国際的コラボを推進する台湾エンタメの“今”

2023/12/28 12:00

「韓国コンテンツ」と「配信サービス」の対応が発展への課題


――コンテンツ産業が発展していくための課題はありますか?

韓国コンテンツとの競争ですね。K-POP、韓流ドラマは世界的にも評価されています。もう1つの問題は、国際的な配信サービスへの対応です。2つの問題に対して、台湾と日本は同じく直面していると思いますが台湾と日本はすごく友好的な国ですので、この2つの問題に対しても、一緒に手を組んでいくことが重要と思っています。台湾としては日本のコンテンツ産業とのコラボレーションをすごく歓迎しています。

――日本のコンテンツ産業との協力とありましたが、例えばどのようなことが挙げられますか?

コンテンツへの共同の投資や共同制作です。例えば、単発の大作への投資はリスクが高いので、多数の市場に展開した方がリスクが下がりますね。TAICCAは台湾角川と、映像製作の投資に関する基本合意書を締結して台湾文化コンテンツの産業化と国際化を目的に、両者が共同で映像化投資と製作を目指しています。今後KADOKAWAさんと一緒に作った作品は、例えば少なくとも台湾と日本、2つの市場に展開でき、マーケティングも可能です。もう1つの市場を確保することはすごく大事です。

韓国コンテンツに対しては、どのようにコラボしていくのかを模索するのが重要だと思います。TAICCAは韓国の大手CJグループと一緒に大規模のファンドを作る予定です。韓国としては、中国語発音の作品を作りたいということだと思います。台湾の市場はそんなに大きくはないんですが、世界的には中国語発音の市場は大きい。そして世界では中国語を使っている方はいろいろな国にいます。このような海外との共同制作は1プラス1は2を超えると思っています。今後もどんどんやっていきたいと思っています。

――「梨泰院クラス」台湾版リメイクも発表されていましたね。韓国コンテンツを恐れずに一緒にやっていこうという事例なのでしょうか。

大ヒット作を台湾の俳優さんでリメイクするのも1つのやり方でこれからもどんどんやっていきたいことですが、その逆パターンとして、台湾のコンテンツやIPが海外でリメイクされるような、互いにやっていけることが大事ですね。

――台湾角川に期待したいことは?

台湾のオリジナルのIPを使って、台湾で映像系の作品を作るプロジェクトになりますが、台湾角川は、1999年に台湾で設立して台湾進出がすごく早かった日本企業です。オリジナルの台湾コンテンツを映像化を通してもっともっと展開していきたい。

昔、私自身が里見八犬伝という作品にのめり込んだことがありました。当時はまだ「IP」や「メディアミックス」という言葉はまだなかったんですけれども、漫画小説、映画、アニメと色々なジャンルに展開するすごさは感じていましたので、今回のプロジェクトも期待しています。

先程言ったように、映像系の作品を作るときには、コストかけてクオリティーの高いものを作り続けないと、韓国のコンテンツに勝てないと思います。でも、すごくコストをかけて作った作品を国際的な動画配信サービスが買ってくれないということがあった場合にリスクもあるわけです。そういう際には少なくとも台湾と日本の市場が確保できる、という点は大きいですね。

台湾作品の強みは人間本来の感情を描いた「ヒューマンドラマ」


――最後に、台湾の映像作品の魅力について教えてください。

NETFLIXで観られるドラマなんですけれども、「此の時、この瞬間に(原題:此時此刻)」という作品があります。普通の町の中にある何者でもない、人たちのリアルの感情を描いた作品です。台湾のどこでも見られるようなストーリーですが、すごく心を動かすストーリーで、台湾でも人気がありアジアのランキングの上位にも入りました。この作品のように、台湾はすごく「人との繋がり」や「人の感情」を大事にしています。誰でも共感できるヒューマンドラマやロマンス作品のストーリーテリングは台湾の強みだと思っています。逆に大きな予算を投じて作るSFや大作映画はまだ少ない。大作のヒットをつくることは未来の目標の一つですね。

ACGの市場が台湾ではすごく大きいのですが、「台湾オリジナル」のコンテンツに対して払う金額はまだ小さい。その1つの原因としては、日本のコンテンツが強すぎるから。今でこそ韓国コンテンツの比率も大きくなっていますが、昔は90%近くが日本のコンテンツでした。台湾のオリジナルコンテンツの盛り上がりが我々TAICCAの課題のひとつです。

実は私は以前に日本の出版社で仕事をしていたことがありまして、日本のACGのコンテンツは本当に大好きです。もちろん台湾のコンテンツのことを推進するだけじゃなくて、日本と台湾が一緒にやることによって、両国のコンテンツがもっと強くなっていけたら嬉しく思います。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

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