父・雅彦と娘・瞳が暮らしてきた家の前が特別な結婚式場に
家の前の道路にバージンロードが敷かれ、その先には新郎・一馬の姿があった。
思ってもいなかったサプライズに雅彦は思わず「やられたよ。俺に内緒で」と。瞳は「子どもの頃からお父さんと歩いた道だから」と、ここを選んだ理由を伝えた。
見慣れた街並みが違って見える、この日だけの特別な風景。手作り感のある式は、瞳と一馬、雅彦、そして参列した人たちにとっても忘れられないものになった。
しかし、雅彦へのサプライズはそれだけではなかった。
2024年に入ってからの思い出の写真がずらりと
披露宴会場となる場所に車椅子で到着すると、瞳が「一緒に行こう、お父さん」と、車椅子を押しながら、瞳が撮った写真が飾られたスペースへ。「ようこそ、椎名瞳写真展へ」と瞳は言って、初詣、伊豆でのふたり旅、一馬と龍之介(石塚陸翔)も合流した遊園地、仲直りした神(中井貴一)との2ショット、瞳の退院祝い、キャンプ、そして普段の姿を収めたものまで、2024年に入ってからの思い出が詰まった写真が飾られていた。
「なんで俺の写真ばっかり?」と、瞳の結婚式なのに自分がメインのようになっているのが気になった雅彦が尋ねると、「だって、お父さんも今日の主役だからね」という返事が。
披露宴会場の入り口に飾られてるウェルカムボードに書かれていたのは「旅立ちの式」という題目と「椎名雅彦、川上一馬、椎名瞳」の3人の名前だった。
「葬式に呼ぶ人」も集まり、幸福感を味わう雅彦
結婚する瞳と一馬だけではなく、雅彦も主役。それぞれの“旅立ち”をお祝いする式となっていた。
会場内には、雅彦が「葬式に呼ぶ人リスト」に名前を並べていた人たちの姿もあった。
「私たちの結婚式とお父さんのお別れ会を一緒にやりたかったの」と、瞳が「旅立ちの式」にした理由を雅彦に伝えた。
「死ぬまでにやりたいことリスト」の中に「英語をマスターをする」という項目があったが、それを書いた理由も明らかに。「葬式に呼ぶ人リスト」の中にあった、ケイト(オリビア・バレール)という人物もこの会場に来ていた。ケイトは、雅彦が妻・佳乃(森カンナ)と浅草でデートした時に路上で歌っていた歌手。その歌声に聴きほれた雅彦は、“自分のお葬式に流してほしい曲を作ってもらいたくて、英語を勉強してお願いしたらしい。
それが実現し、お葬式ではないが、この“旅立ちの式”でその曲をピアノ伴奏で披露してくれた。前向きな内容の曲で、まさにこの式にピッタリの曲を。
「私は少し早く旅立つかもしれませんが、最高の人生でした。幸せな人生でした。これからは瞳、カズマル、龍之介、この3人を見守ってくださいませ。本日はありがとうございました」
結婚式、お別れの会が一つになった「旅立ちの式」は、雅彦が自身の葬式に望んだとおり、湿っぽさはなく、たくさんの笑顔が溢れるものとなった。
後日、雅彦は息を引き取るが、瞳らは新しい生活をスタートさせて未来へと進み始めた。生と死を考えさせられる主題のドラマで、シリアスさもありながらも、一つの“ハッピーエンド”の形を最後に見せてくれた。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
TCエンタテインメント
発売日: 2024/08/09