月川翔監督「知るほどに多くの人に伝えたい思いが芽生えた」
また、月川監督も「最初にこれは実話なのですというお話を伺っていまして、心臓に難病を患っている娘のために、知識のない町工場のお父さんが医療器具を開発したと。で、その医療器具は今も世界中で多くの人の命を救い続けているという。果たしてこのお父さんに何があったんだろう? 家族とどんなやり取りがあったんだろう?ということをまず知りたかった。知るほどに、やっぱり多くの人に伝えたいなという思いが芽生えてきて、この映画にどんどんのめり込んでいったというような感じです」と本作への思いを明かす。
「やっぱり大変な年月をかけて宣政さんが開発したものなので、お話を伺っていくと分かったような気になるんですけど、全て画面に映るものにしていくということがやっぱり困難で、やっていくと、いろんな方に取材していくと、そんなやり方では多分できないですよみたいなことまで聞くんですけど、やがて宣政さんから本当に人工心臓の試作品みたいなものが出てきた時には本当に感動して、それも実際に映画の中で映させていただいたりというような、たくさんの感動がお話を伺っていく中でありました」と、撮影の中で感じたことを伝えた。
為せば成る精神…強さみたいなものを感じた
さらに、大泉は「モデルの坪井宣政さんはまだまだお元気で、しっかりお話はできて、まだまだ会社の経営をなさってる方ですから、名古屋のご自宅でお話できたんです」というエピソードも披露。
「本当に僕にはない(ものを持った方で)、ただ僕にはないんだけど、僕の父にはあるなという感じ。僕は昭和48年(生まれ)で、生まれてから世の中的に不自由があった世代じゃないんですよね。だけど、やっぱり戦後何もなかった日本で自分の生き方の選択肢なんかがない時代にね、“やるしかないんだ”っていう世代の人たちの強さっていうのかな。だから、宣政さんに言われたのは、もう“為せば成る”だと。できないことなんかない、為せば成る精神でやるんだと。できないことなんかないんだよっていうその考え方。だから、できないことなんかないっていう精神で本当に僕はやってましたっていうお話を聞いて、弱音とか、できるできないとかじゃないんですよね。とにかく動くんだ、やるんだっていうね。なんかその強さみたいなものをとにかく感じましたね」と、これまで演じたことはないような役に臨んだ心境を明かしていた。