佐藤二朗監督&山田孝之主演。その組み合わせでコメディだったら…
――佐藤さんは今回、凶暴凶悪な男に扮(ふん)しています。佐藤さんの見たことのないような表情も堪能できるなど、意外性にあふれた作品です。
プロデューサーが出資を募る際には、「佐藤二朗監督、山田孝之主演。その組み合わせでコメディだったら、お金を出したのに」と言われたこともありました。そう言われるのはビジネスとして当然のことですし、否定するつもりももちろんありません。やっぱり映画でお金集めをするときには、いろいろなデータを求められるんですよね。「恋愛映画ではこのキャスティングでこれだけの興収があった」「動物ものはこれくらいいける」など、そういったデータを出してくれと言われる。でも表現する人間としては、過去にデータがないことにこそ、挑戦してみたいと思うわけです。誰もやってないことに向かうことって、すごく大事なんじゃないかと思う。そんな気持ちで、本作にも挑んでいます。
――新しいことに挑む上で原動力となるのは、どのようなことでしょうか。
「あっと驚かせたい」という気持ちは大きいですね。僕の大好きな先輩俳優の鶴見辰吾さんが、以前、静岡の撮影現場に自転車でいらっしゃったことがあって。あの方、自転車が大好きなんですよ! 静岡までいらしたことに驚いていたら、鶴見さんは「役者は、みんなをあっと驚かせるのが好きなんだよ」とおっしゃっていて。本当にその通りだなと思った。僕も「佐藤二朗、そう来たか!」と思わせるのが好きだし、そういった思いが原動力になっていると思います。
取材・文=成田おり枝
2021年6月4日(金)公開 R15+
配給=AMGエンタテインメント
原作・脚本・監督/佐藤二朗 出演/山田孝之 仲里依紗 坂井真紀ほか