『ビッグマウス』オ・チュンファン監督が明かすイ・ジョンソクの素顔 「愛情表現が必要な撮影では恥ずかしがっていた」
イ・ジョンソクの“表現力”を絶賛
――本作で一番印象に残っていることは何ですか?
チャンホが家族を守るために「ビッグマウス」になることを決意し、所長にどなりつけるシーンがあります。撮影前にイ・ジョンソクさんと、このシーンはこのシリーズを通してチャンホの感情的にとても象徴的なシーンになるだろうと話しました。そして、よりイ・ジョンソクさんのことを考えたシーンになりました。後でイ・ジョンソクさんから、このドラマのこの役を引き受けることにしたのはこのシーンのためだと聞きましたが、本当にそのキャラクターを見事に表現してくれたと思います。
――シリーズを演出する上で、参考にしたもの、インスパイアされたものはありますか?
「ビッグマウス」は、ちょっと暗くなりすぎて楽しさが半減しやすいと思ったので、このシリーズを監督する前に、いろいろと考えました。ですから、私自身はただシリアスで暗いだけでなく、もっと楽しくて、気軽に見られるシリーズにしようと努力しています。
キャラクター描写は、ガイ・リッチー監督の映画を参考に、編集のテンポを考えてみました。ビッグマウスを登場させるときは、モノクロの画面で、「シン・シティ」や初期のハリウッドノワール映画のような雰囲気が出ればいいなと思いました。ビッグマウスという存在そのものが、昔の悪役のスタイルに合っていると思ったので、彼にまつわるシーンをモノクロで表現したいと思いました。
――「ビッグマウス」は、これまでの作品と比べるとトーンが違いますね。ハードボイルド・ノワールという新しいジャンルに挑戦した理由や背景は何でしょうか?
TVシリーズでノワールに近いトーンで演出することはあまりない。正直この手のジャンルは韓国ドラマではメジャーではなく、テレビというプラットフォームの特性上、暗いコンテンツはテレビではあまり好まれないからだと思います。今までの作品では、明るく派手なシーンに重点が置かれていたんです。それで、暗いジャンルに興味を持つようになったんです。そのようなジャンルでも、多くの人が入りやすく、楽しめるようなドラマを作れないかと、いろいろと考えました。
――演出する中で、最も苦労したシーンは?
ストーリーの内容上、刑務所の敷地内では群衆のシーンが多くありました。そのため、役者やスタッフを含め、多くの人が一度に大移動しなければなりませんでした。監督としては、いかに効率よく撮影するかが常に課題でしたが、役者やスタッフのおかげで、非常にスムーズに撮影することができました。
――これまで様々なジャンルに携わってこられたと思います。好きなジャンルや今後挑戦してみたいことはありますか?
監督として、いろいろなジャンルに携われたことは幸運だったと思います。機会があれば、韓国の伝統的な時代劇や、ファンタジーやSFの要素を取り入れた作品に挑戦してみたいです。また、家族全員で楽しめるようなファミリーストーリーや青春シリーズにも挑戦してみたいです。
――「スタートアップ」や「ホテル・デル・ルナ」など、国際的に成功した韓国ドラマを数多く手掛けていらっしゃいますね。その経験からシリーズの成功に最も重要なことは何だと思いますか、またなぜそう考えるのでしょうか?
多くの投資とスタッフが関わる作品の監督として、成功は常に私の第一の目標です。しかし、成功のための完璧な方程式というのは、いつも難しい問題です。
個人的には、撮影現場が楽しくないドラマ、モチベーションが上がらないドラマは成功しにくいと思っています。作り手がその作品に惚れ込まないと、視聴者も惚れ込んでくれないと思うんです。だから、制作に入るときは、いつもそこが原点なんです。自分が熱狂的に飛び込める番組、役者やスタッフが惚れ込むような番組を作るために、いつもベストを尽くしています。
――「ビッグマウス」をご覧になるみなさんに注目してほしいポイントを教えてください
「ビッグマウス」は楽しいドラマであり、次のエピソードが知りたくなる作品です。濡れ衣を着せられたチャンホがどのように危機を乗り越えていくのか、本当の「ビッグマウス」は誰なのか、チャンホとミホがどのように悪と戦っていくのかに注目すれば、きっと楽しいシリーズになるはずです。
――最後に、近い将来、一緒に仕事をしたいと思う日本の俳優はいますか?
「小さいおうち」「リップヴァンウィンクルの花嫁」「重版出来!」に出演されていた黒木華さんが好きです。今まで出演された作品をたくさん見てきましたが、出演される作品によって雰囲気が違うと思うので機会があれば一緒にお仕事をしてみたい方です。
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