中園ミホ氏は「元気が出るドラマ」担当
――「ザ・トラベルナース」はどのような思いが込められていますか?
今回の「ザ・トラベルナース」では、男性ナースは必要なんだよという思いと、作品を見て男性も女性も関係なしに元気になってくれたらという気持ちで書いています。
女性ナースに比べたら、職場での肩身が狭かったり、患者さんにも「来ないで!」といわれてしまう彼らだけど、絶対に現場には必要なんです。患者さんにも、ドラマを見たことで、「こんなナースのいる病院に行きたいな」と思ってもらえたらいいなと。
一見、病院に行くというのはネガティブに聞こえてしまうかもしれませんが、病院に行くことで自分のことを相談できる誰かがいる、自分よりも自分を分かってくれる人ができるかもしれないし、皆さんにとって病院へ行くということが、ポジティブなイメージにつながっていたらうれしいです。
――病院嫌いな方っていますよね。
いますいます。岡田さんや中井さんをはじめ、「ザ・トラベルナース」のキャラクターがいたら病院にちゃんと通おうと思いますよね(笑)。あんなに格好いいナースさんがいたら、元気ももらえますし!
――中園さんの中では「元気になってほしい」という部分が作品を描く中での軸になっているんですね。
いろいろなドラマがあっていいと思いますし、脚本家の数だけドラマはあっていいと思っているのですが、私は、「元気になってほしい」「元気が出るドラマ」という担当です(笑)。
だからこそ、爽快感のあるスカッとしたストーリーや笑顔になれるようなドラマが多いです。そんなドラマを見て、少しでも皆さんに「明日も元気に会社へ行こう」と思ってもらえたらこれ以上の喜びはないです。
――多くの方が中園さんの作品に元気をもらっていると思います。そういった声は届いていますでしょうか?
お手紙をもらったりするので、皆さんの声は届いています。元気をもらいましたなどさまざまな感想をいただき、私自身も、皆さんから元気をもらっています。
――書いていて楽しかったキャラクターは?
歩くんも静さんも書いていて楽しかったですが、私は安達(祐実)さん演じる吉子さんが大好きで、書いていてすごく面白かったです! 私、ちょっとくせ者が好きなので、あんまり素直になれない吉子さんは特に筆が乗ったかもしれません(笑)。
あんなに仕事ができるのに、どこか欠落していていたりする歩くんのこじらせ方も好きなんです。謎過ぎてよく分からない静さんも、面白かったです。
みんな書いていて楽しかったですけれど、あえて一人挙げるなら吉子さんですね。私の頭の中で、どんどん動いてしゃべってくれる感じで。
――(笑)。安達さんも「第5話を読むまでは、吉子さんがどういうキャラクターなのか分からない」とおっしゃっていました。
最初は皮肉みたいなことしか言わないし、「(第2話で静へ向けたせりふ)ナースが患者殺すってよくありますよね」などの不吉な言葉を言うので、キャラクター的にすごくシニカルな人物。でもあの人もすごく仕事ができて、プロフェッショナル。
一方で、過去に切ない話もあって、吉子の今につながっていたりするので、そういう所も含めて楽しんで書きました。
吉子さん以外も最終回に向かうにつれて、どんな人なのかが分かっていったかと思います。ナースって名前をすぐに覚えてもらうことってあまりないらしいんです。なので、ドラマでも最初はみんなまとめて白衣を着たナースだったと思います。
でも、回を重ねるごとに、「この人はこういう人」「こういう失恋をした」「こういう過去があった」と視聴者の皆さんが少しでもそれぞれのキャラクターについて詳しくなってくれていたらいいなと思っています。