映画「こんにちは、母さん」完成披露試写会が7月31日に都内で行われ、吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、宮藤官九郎、田中泯、山田洋次監督が登壇した。山田監督にとって90本目となる本作。吉永が主演を務め、大泉、永野、寺尾聰、宮藤、田中、YOU、枝元萌らが出演。東京の下町で今この令和を生きる、等身大の家族を描いている。
隅田川花火大会の4年ぶり開催に安堵
イベントでは、本作の舞台である隅田川など下町の風景を3面大型スクリーンに映し、浴衣や和装で登場したキャストたちが撮影時のエピソードや作品にまつわるトークを展開。フォトセッション時には、夜空に打ちあがる花火がスクリーンに映し出された。
90本目となる作品の完成に、山田監督は、「このすてきな俳優さんたちと力強い大勢のスタッフに恵まれてこの映画を撮影しました。今度の映画は下町が舞台です。寅さん(男はつらいよシリーズ)は確かに下町ではありますけど、江戸っ子に言わせればあれは江戸川のほとりの千葉県に近い方だから、江戸っ子の下町とはちょっと違うかもしれない。これは本当に古くからの下町・向島というところを舞台にして映画を作りました」と作品について語り始める。
「戯曲もそうなっているんですけど、ラストシーンは隅田川の花火で終わるんですね。その終わり方がなかなかすてきで、これは変えられないなと思っていたんですけど、去年も一昨年も花火大会が中止になっちゃっているんですよね。去年の秋からこの撮影が始まっているんですけど、来年は絶対あるだろうと。来年中止になっちゃったら困る、この映画はうそをつかないといけないわけですから。映画の花火(映像)は、今までのいろんな花火の素材でCGを含めて作れるんですけど、今年も隅田川の花火大会が中止になったらと心配したんですけど、無事開催されて、僕はホッとしながらテレビを見ておりました。そんなわけで1年かけてこの映画がようやく封切りになるわけです」と、二日前に隅田川花火大会が4年ぶりに開催されて安堵したと語った。
そういうおばあちゃんでいいじゃないか
また、山田監督が「最初、吉永さんをおばあちゃんと呼ぶのが、僕にも抵抗があった。小百合さんもそんなふうに呼ばれたことはないはずです。あえてそれをお願いして、おばあちゃんの役、おばあちゃんと呼ぶようになったんですけど…」と、吉永のキャスティングについて語る場面も。
「小百合さんを普段見ると全然おばあちゃんみたいじゃない。そんな人に、年相応の動きとか表情とか、しぐさとか、そういうものが必要なのかというふうに最初の頃は考えていました。でも、テストをやっているうちに、そうじゃないんだと。小百合さんは大変美しくて、どこかとてもかわいらしいところがあって、そういうおばあちゃんでいいじゃないかと思ったんですね。きれいなおばあちゃんがいいじゃないかと。そういう美しくて、しぐさがかわいらしいようなおばあちゃんもいるんだと。それがこの役なんだと。そんなふうに考えました」と、吉永の“おばあちゃん”役にキャスティングした思いを明かした。