大泉洋、ファイナル公演の武道館で熱唱 観客1万3千人が笑いと感動に包まれる集大成のステージに
「昭和名曲ヒットパレード」ではハンドマイクの持ち方にもこだわり
ここで大泉が一旦退場し、映像タイムに。ファンお待ちかねの「水曜どうでしょう」藤村・嬉野ディレクターとの対話映像に場内が沸く。リサイタルを「のど自慢」とイジり倒す藤村ディレクターに苦笑しながらも、大泉は今日のための映像を作ってほしいと発注。「(会場の)大泉初心者を失禁するほど笑わせてほしい」という大泉の発言から、藤村ディレクターの「何でもやるんですね?」という丁々発止に客席は爆笑に次ぐ爆笑に。
その映像に期待を膨らませつつ、リサイタルは「昭和名曲ヒットパレード」へ。白いスーツ姿で登場した大泉が、「自動車ショー歌」(小林旭)、「また逢う日まで」(尾崎紀世彦)、「長い夜」(松山千春)を大らかなボーカルで歌い上げていく。特に北海道を代表する歌手である松山の「長い夜」は、ハンドマイクの持ち方まで本人のディテールを彷彿とさせる表現に余念がない様子だった。
そして、藤村・嬉野ディレクターによる受注映像が解禁。テーマは「大泉ファッションショー」。「水曜どうでしょう」のスタイリスト小松江里子が用意した筆舌に尽くしがたい4つのコーディネートを着た大泉がウォーキングから何故か太鼓を叩くという衝撃の展開に。「水曜どうでしょう」ファンならご存知“ひぐまの洋”も挟んだ映像に大爆笑と拍手がひっきりなしに続く。笑い疲れた頃、照明が一転。曲は「手漕ぎボートは海をこえて」。スクリーンでは「水曜どうでしょう」の過去映像が流れ、観客からあたたかな拍手が起こっていた。
3回目のMCタイムでは「大泉ファッションショー」の解説から、自身の無茶振りを認めつつも、藤村・嬉野ディレクターに映像を発注するのは「ヤミ金融からお金を借りるようなもの」「丸投げは最後に自分に返ってくる」と自戒。そこから「水曜どうでしょう」ファンにはお馴染みである大泉の従兄弟の“みっちゃん”が札幌公演に訪れた抱腹絶倒のエピソードが語られた。
終盤戦では心があたたかくなる幻想的な演出も
ここからライブは終盤戦に突入。数々の大泉楽曲を手掛けてきたター・ナー・カー(田中一志)とシモシモ(下川佳代)による書き下ろし楽曲に大泉が作詞をした新曲「コラーゲン。」、日本語吹き替えを担当したミュージカル映画「シング・フォー・ミー、ライル」から装いも新たにバンドアレンジされた「Top Of The World」を披露。「ふわり」では天井から無数に放たれたハート型のペーパークラフトがひらひらと舞い降る心があたたかくなる幻想的な演出がインパクトを残していた。
そしてステージにグランドピアノが登場。おもむろにピアノに向かう大泉。どよめく観客。何と「ハナ〜僕とじいちゃんと」をピアノ弾き語りで届けようというサプライズ演出だ。しかし…曲の前に用意したイントロが弾けない。弾いては躓きを繰り返す。「武道館には魔物がおる!」。固唾を呑む客席には、まさに子どもの父兄参観日かピアノの発表会を見守る家族のような不思議な一体感が生まれていた。
「あんなに練習したのに」「リハでは上手くいったのに」。しかしまだつまずく。「(NHK)SONGSのメイキングが入っているのにー!!ここは使わないでくださーい!!」とうなだれる大泉に爆笑と拍手が送られる。連続7回のミスを経てようやくイントロをクリアすると「ハナ〜僕とじいちゃんと」へ。ひまわり畑の映像をバックに、大泉と観客の〈シャララ シャララ いつか会える〉、〈ワララ ワララ かならず来る〉の大合唱が響き渡っていた。
話題のナンバーをラストに相応しい熱唱で歌い上げる大泉洋
4回目のMCタイムに入ると大泉は悔しさのあまり再びイントロにトライ。ピアノの練習を振り返りつつ何とか無事に弾き終えると「まさかこんなことになるとは。まあ俺らしいよね」と苦笑した。そして「ふわり」を書き下ろしたGLAYのTAKUROへの感謝、少年時代に父と訪れたという故郷に立つ塔の思い出、さらに作曲を手掛けた玉置浩二から寄せられたという作詞のアドバイスを語って、「あの空に立つ塔のように」へ。昨年大晦日の第74回NHK紅白歌合戦でも披露された話題のナンバーをラストに相応しい熱唱で歌い上げるとリサイタル本編が幕を閉じた。
盛大な手拍子に応えて再び大泉が登場。この日、全編に渡って素晴らしい演奏を奏でた、田中義人(ギター)、山田章典(ベース)、nang-chang(マニピュレーター)、田中栄二(ドラム)、松本圭司(キーボード)、NAOTO(バイオリン/バンドマスター)、コーラスの小此木麻里、まりゑ、会原実希らバンドメンバーを紹介した。