SixTONES 4大ドーム公演「VVS」魂の完走 360度ステージとバンドサウンドで際立つ6人6様のバイブス【ライブレポ】
爆笑のMCトークとスタッフからの愛あるメッセージ
そんな彼らの魅力は、ほぼフリートークで展開するMCでも爆発! 「めっちゃ楽しい」と今回のツアーの名残を惜しむ松村の声を受けて、田中が「終わるの寂しくて、来年もう1回同じのやっても盛り上がってくれる?」と尋ねると会場から大きな拍手。すると松村が「座席に着いて隣を見たら…あの日の!?」と座席も同じにしようとすかさず笑いを取る。最終的には京本が前半の一曲だけ「もう一回やらない?」と言い出すと会場からは大歓声が湧き上がっていた。かと思えば、森本慎太郎は某CMのダンスをリフターまで動かして力いっぱいに踊って大盛り上がり!
また、森本による高地への「サングラスかけると(気持ちが)入っちゃう」という指摘から、高地がサングラスをかけたバージョン、かけないバージョンのトークを繰り広げ、これまた会場に爆笑の渦が巻き起こっていた。そんなトーク力もまた、彼らのアイドルとしての経験値がなせる技であろう。
本編終了後のアンコールは、センターステージからカジュアルなTシャツに着替えたメンバーが再登場。花道やトロッコで笑顔でファンサービスしながら「Good Luck!」からグループ初のオリジナルソング「この星のHIKARI」という爽やかなポップソングを連打。終わると一転、ド派手なEDMサウンドの「WHIP THAT」を繰り出し、SixTONESならではのギャップの妙で楽しませる。
そして、ツアー最後のナンバーは、京本主演の新ドラマ「お迎え渋谷くん」(フジ系)の主題歌でもある新曲「音色」。「これ聴いてSixTONESとみんな、俺たち明日から生きていこうぜ!」という京本の前向きな言葉から始まったこの曲は、この日が客前での初披露。ほっこりと心の温まるポップチューンを歌いながら、「♪君といれば素直な音がするんだ」というフレーズで、メンバーを指差す森本の姿がスクリーンに映ると涙を流すファンの姿も。歌い終えたジェシーが「拳を全力で上げて〜、ズドン!」というおなじみのコールを叫ぶと、銀テープがアリーナに降り注ぐ。
と、外周のスクリーンになにやら文字が…。その内容は「お前らがどうしてもやりたいって言った360°ステージは楽しめたか? お客さんのVVSは感じられたか? まぁ相変わらずMCはなげぇし、つまらねぇ時もあったけど最高に楽しめたよ! また一緒にTOURやろうね! 大好きだぞ!! TOUR STAFF一同」というコンサートスタッフからSixTONESのメンバーへの愛あるメッセージ。
それを見た京本が「はけたくないよ」とつぶやくと、松村も「チームSixTONESって最高」と感動ひとしおの様子。「いつか(札幌も含めた)5大ドームやれたらいいよね!」という高地の声に会場は大歓声。さらにジェシーが「いや、もっともっと上行くでしょう!」と叫ぶと、森本が「スタジアム行こうぜ」と続ける。花道からフロアまでゆっくりと会場に手を振りながらメンバーが去っていき、3時間弱のステージは幕を閉じた。
京本&森本による爽やかでストレートな前向きのロックナンバー「希望の唄」、松村&田中のブラザーフッド感あふれる会話が楽しいヒップホップチューン「スーパーボーイ」、ジェシー&高地のリリカルなラップ曲「Blue Days」といった各ユニット曲も含め、セットリスト全体を見直しても、SixTONESのロック、ヒップホップ、そしてポップミュージック、歌謡曲などなど、音楽という広大なジャンルへのアンテナ感度の高さをしみじみと感じさせられる。
それらを漫然と並べるだけではなく、34曲もの楽曲群の1曲ごとにSixTONESらしい音楽的かつアイドル的アプローチを提示してみせたのは、見事のひと言だ。それが実現できたのは彼ら一人一人のスキルの高さと、緻密な構築ができるクレバーさ、そしていちばん大事な「表現をする」ということに対するパッションがあるからこそだろう。それらが文字通り、SixTONESにしか作れないバイブスとなって会場の熱量をぐんぐん上げていった。5万5千人のペンライトがおざなりな“手振り”ではなく、音楽が生み出すバイブスを帯びて能動的に揺れていた。そんな光景が作れるのは並のアーティストにもできることではない。ツアータイトルに恥じない、今ツアーの、というよりも、これまでのSixTONESの集大成と言っても過言ではないようなツアーラスト公演だった。
撮影=阿部岳人
取材・文=本嶋るりこ