内田監督の言葉に目を潤ませる土屋太鳳
会見では、登壇者の3名がそれぞれ感謝の気持ちをしたためた手紙を読む場面も。
内田監督から「拝啓、佐久間大介さま。早いもので『マッチング』の撮影から1年半が過ぎ、二度目の桜が咲こうとしています。思えば最初の顔合わせのとき、誰よりも声が大きく元気すぎるその笑顔に、一抹の不安を覚えたことを思い出します。経験があまりないという演技は大丈夫なんだろうか。テレビ出演に忙しくて役作りできるのだろうか。しかし、そんな不安もすぐに払拭されました。吐夢という複雑な人間の内面を理解しようと、長い時間話し合ったのを覚えています。生と死、愛の確認と存在、そして人間の孤独。スリラーという娯楽作に込めた私の思いを、見事に吐夢というキャラクターに命を吹き込むことで表現してくれました。映画作家として、これに勝る喜びはありません。
そして、年々減っていくオリジナル映画をお客さんを巻き込んで盛り上げてくれたこと。映画は見ていただいたお客さんのものであることを再認識しました。映画に一喜一憂していた自分の“映画少年時代”を重ね、映画への思いを再び強く持つようになりました。
出会ったときの不安要素であった佐久間くんの明るさも、今はないと逆に不安になってしまうようになってしまいました。人間は現金なものですね。映画は疑似家族であり、出会いと別れと再会の場であると信じています。出会わせてくれた映画と、ここまで作品を応援してくれたお客様と、そして佐久間くんに感謝しています。本当にありがとう」という言葉が送られると、佐久間は「うれしい」と照れ笑い。
続けて、「拝啓、土屋太鳳さま。 撮影、そして公開まで長い長い時間を、季節の移り変わりを、この『マッチング』とともに歩んでくれましたね。等身大の女性像である主人公・輪花を演じるにあたり、想像を絶するほどに身を削ったことでしょう。俳優が映画にとってどれほど大事なのかを、日々険しくなっていく太鳳ちゃんを見ながら教えられた気がします。
同時に、カメラの外での俳優の重要さも太鳳ちゃんから学びました。一つの家族とも言える映画の現場。長い共同時間と過酷な創造性が求められる撮影において、やはり主演俳優が与える安心感が『マッチング』という家族を支えたのだと思うのです。スタッフへの心遣い、現場の100人近い人間のモチベーションのキープ。自らの役作りが大変な中、太鳳ちゃんの存在は本当にありがたかったし、感謝しかありません。良い演技だけでは良い映画は作れない。疑似でしかない家族に血を巡らせることこそ、映画における一番難しい部分であり、それを率先してやってくれましたね。
土屋太鳳が作ってくれた家族は、俳優の結束を生み、作品を生み、たくさんのお客さんを巻き込み、今や大家族となりました。映画が持つ力を見せてくれてありがとう。そして、公開までの間に、太鳳ちゃん自身にも新しい家族ができたこともなんとも喜ばしく、我が身のようにうれしい気持ちでいっぱいです。またいつの日か、再び土屋太鳳の元気とパワーで私の映画に血を巡らせてくれる日を心待ちにしています」と伝えられると、土屋は目を潤ませ言葉を噛み締めていた。
MENT RECORDING
発売日: 2024/02/14